「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲

 ワーグナー(1813-1883)作曲の楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」の第一幕への前奏曲です。初演は1868年で、ワーグナー円熟期の作品です。ワーグナーはニーベルングの指環四部作が有名です。そこで描かれるゲルマン民族のDNA的多神教世界は、はまる人にはハマルのでしょうが、そうでない人は感応しにくいでしょう。「指輪」は壮大ですが、長大でスカスカしているように感じます。これは楽劇だから仕方がないので、バッハやベートーヴェンの作品と無理やり比較してそう思っているだけです。その点、マイスタージンガーの前奏曲はコンパクトに出来ていてうまくまとまっています。この曲を聴くと明るく元気になるので重宝しています。


 さて、まずはジュゼッペ・シノーポリ(1946-2001)指揮のドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏を聴いてみましょう。

 シノーポリの表情を見ていると飽きないです。よくオケを歌わせている指揮です。ああ、俺もこのオケでティンパニーを叩きたいっ。シンバルでもいいっ。

 なんというかワーグナーの音楽には官能的な陶酔させるものがあるのですね。クリムトの絵のような感じの。10代の頃にトリスタンとイゾルデの「前奏曲と愛の死」を聴いて鼻血が出そうになったものです。

 

 私はクナッパーツブッシュやフルトヴェングラーやクレンペラーの堂々とした指揮も好きです。でも現代的ではないと感じることも・・・。

 

 もう一つ、好きな録音を紹介しましょう。アンドレ・クリュイタンス(1905-1967)指揮のパリ国立歌劇場管弦楽団の演奏です。

 すっきりクッキリしていてすごくいいですねー。録音は古いのですが、金管も弦もはっきり聞こえます。うまいオケです。クリュイタンスはベルギー出身。ドイツ音楽とフランス音楽のいいとこどりをしたようなセンスの良さを感じます。この演奏からは、純粋な音楽としてのワーグナーの良さが感じられるのです。

 ニュルンベルグのマイスタージンガーは歌が入った方が好きです。楽劇の冒頭をそのまま聞くのですね。コーラス入りは、ユーチューブではスイトナーくらいしか見当たりません。ワーグナーの曲はそういうのが多くて、私は「ワルキューレの騎行」も歌が入った方が好みです。