「骨ストレッチ」ランニングを読んで

著者:松村 卓,講談社+α新書

 

 この本には楽な走り方のヒントが書いてあります。

 ランニングを始めて三ヶ月ほどたった頃、マラソンの走り方がわからなくなりました。思えば今まで、走り方というものを誰にも教わったことはなかったです。それで、この本を買って読んでみたら目から鱗が落ちた気分です。そして書かれているやり方を実践したところ、楽に心地良く走れるようになったのでした。

 

 著者の松村  卓氏は日本のトップレベルで陸上短距離の競技をされた方です。当時はベン・ジョンソンやジョイナーが活躍していた時代であり、松村氏も彼等のような驚異的な走りを目指して筋力アップのトレーニングをしたそうです。ところがオリンピック選手レベルの筋力アップを果たし十分にストレッチをしていたにもかかわらず、松村氏は肉離れに悩まされ、度重なる怪我に苦しめられたといいます。それで、氏は筋肉の量ではなく、筋肉の使い方(筋出力)を上手に引き出すやり方を模索するようになったということです。そして、体幹部の骨を効果的に連動させて動かすための「骨ストレッチ」の方法を開発したのでした。

 

 骨ストレッチの詳しい内容はネタバレになるので控えますが、骨が動くことでインナーマッスルも動き、心地よく軽やかな走りになるというのです。また、ストレッチや筋トレについて今まで一般的にやられてきたやり方の弊害についても述べられています。立ち方・歩き方から、腕振り、足の運びに至るまで、具体的でユニークなトレーニング法も合わせて解説されています。

 

 楽な走り方(歩き方)の要点は体を自然な前傾姿勢にして体の重さで走る(歩く)ことです。この場合、腕振りには頼りません。前方に倒れるようにして、倒れないように一歩を出す。そしてまた次の一歩を出すということを交互に繰り返していくことです。

 

 面白いのは江戸時代の飛脚の走り方についての言及があることです。飛脚は当時すごく長い距離を走っていたそうです。江戸時代末期の飛脚の写真をネットで見ることができますが、皆、体が前傾しているのですね。また、上半身はさほど筋肉が多くないが、尻の筋肉がすごいことが見てとれました。

 

 近頃はマラソンブームで、ランニングをする人が多くみかけられます。この本はランニングを長く楽しむのに役立つ実践的な良著だと思いました。