チェット・ベイカーの歌声

 Chet Baker(1929-1988)はジャズトランペッターですが、歌もうまくて歌の録音も残しています。

 

ドン・フリードマン トリオのIt could happen to youを紹介したときに、ドン・フリードマンの演奏に歌心があるって書きました。では、歌心って何でしょうか。

 

 チェットベイカーの歌で同じ曲を聴いてみましょう。

 歌詞の大意は、「あなたの腕に抱かれてから、周りのことがいろいろと違って感じられるようになったけど、あなたにもそういうことが起こったかもしれないね」ってものです。ジャズの曲を演奏するときに英語がわからないと、メロディーから入ると思うのですが、英語圏の人は英語の歌詞を心で口ずさんで演奏しているはずなのです。それを歌心って書いたのですが、チェット・ベイカーの歌を聴いてから、ドン・フリードマンの演奏を聞いてみてください。

 

 さて、チェット・ベイカーの歌の代表的アルバムはSingsです。中でも10曲目のMy funny Valentineが有名です。 

 チェット・ベイカーの歌声は不思議です。少年のような中性的な声で、ビブラートを効かせずに素直に歌ってます。ジョアン・ジルベルトのボサノバ曲の歌い方もなんとなく似ており、チェット・ベイカーから影響を受けたらしいです。

 

 チェット・ベイカーは1988年に謎の転落死を遂げました。「Let's Get Lost」はその死の直後に封切られた彼の自伝的映画です。その主題曲Let's Get Lostでも、彼の不思議と若さを感じさせる歌声を聞けます。当然、トランペットも彼の演奏です。