原作漫画:此元和津也
監督:大森立嗣
池松壮亮(内海想)、菅田将暉(瀬戸小吉)、中条あやみ(樫村一期)
【あらすじ】
高校2年生男子の瀬戸と内海が放課後に川沿いで時間つぶしにするおしゃべりをひたすら撮った映画です。春から冬までいろいろな時期での小話風の構成です。怖い3年生の鳴山とお父さん、瀬戸が想いを寄せる樫村さん、瀬戸の父母や祖父や、猫のミーニャン、道化師のお兄さんなどが脇役として登場します。
あらすじだけではこの映画の面白さがわからないと思いますが、会話の中身を書くとネタバレになってしまいます。
【感想】
原作の漫画は会話も絵も完成度が高いので、映画でその上に何ができるんだろうと思って観たのでした。すると、冒頭は川を舟で遊覧するシーンから始まりました。セトとウツミが暇つぶしをする場所を川の方から見たという視点の転換があり、ぐっと引き込まれました。それと、アコーディオンの音楽も良かったです。監督は原作の持ち味を忠実に出そうとしたようで好感が持てました。
二人の高校生の役はしゃべりが長くてセリフを覚えるのが大変なのと、表情や会話の「間」が大切なのですごく演技力がいるのですが、池松壮亮も菅田将暉もよく実力を発揮したと思います。
二人の会話は関西弁ですが、ほとんど漫才です。セトがツッコミでウツミがボケですね。セトが突拍子もないテーマで質問を考えてウツミにぶつけ、ウツミがクールに返すというパターンです。哲学的な内容の話もあって引き込まれます。ときにウツミが逆襲してツッコミを入れます。会話の最後の方で第三者が関わってきて話が終わることが多いです。それにしても、関西の高校生はふだんからこんなに面白い会話をしているのでしょうか。
ロケ地は堺市。川のシーンから始まって、堺の落ち着いた雰囲気が出ていたように思います。樫村さんはお寺の娘という設定ですが、堺のお寺なら納得です。樫村さんの名前はいちごだそうで、妹はいちえだそうです。樫村さんはウツミに想いを寄せているのにウツミはつれなく、セトは樫村さんに片思いという関係です。ウツミとセトは仲がいいとは思いますが、二人が座る位置が少し離れているので、二人はべったりの関係ではないようです。
この映画の製作費は高くないと思いますが、それでも面白い映画ができるのだなあと感心しました。