みやすのんき著 実業之日本社
この本はマラソンで速く走るための実用書です。
私はマラソン大会に出てみて、速い人は体形と走り方でわかると思いました。体形のポイントは痩せていることと脚の形です。マラソンで速く走るには、体を絞って体重を軽くしていく必要があります。さらに、効率良くて速い走りが求められます。
走る速さはストライド掛けるピッチで表されます。すると足が長い人が有利なはずですが、速い人が必ずしも長身とは限りません。速い人を観察していると、皆、走り方がダイナミックなのです。
そこで、走り方の参考になる本はないかと探して見つけたのがこの本です。
みやすのんき氏は今、50代の漫画家です。作品「冒険してもいい頃」で、エロい女の子を描いていた人です。しかし、この本で氏が描いたイラストは筋肉質なおじさんの絵になっていて、その落差にびっくりしました。みやす氏は以前85kgあった体重を60kg未満に絞り、マラソンでサブスリーを達成したそうです。きっと体脂肪率の変化が画風に影響を与えることがあるのでしょう。
この本の内容は、前半がランニングフォームの考察、後半は氏がサブスリーを達成するまでの一年半(!)の足跡です。氏がサブスリーを達成したのは、練習と研鑽のたまものだと思いますが、具体的には体重を落としたことと、良いランニングフォームを身につけたことが大きいのではないでしょうか。氏は今のマラソン界で圧倒的な強さを誇るケニア・エチオピア勢の選手のフォームに着目しました。そして、いくつかのポイントに着目しました。
①シザース動作は必須
シザース動作とは、前の足が着地する前に後ろの足が前の足を追い越す動作です。ママチャリのぺダリング動作に似ています。
②足を着地する時の意識は真下に押す
③前の足を着地した瞬間に後ろ足を前に戻す意識
そうすると膝は曲がり、足は自然にフラット着地になります。
④腿上げをした足は最短距離で着地する
足首を柔軟に使う。
⑤脚は骨盤の大転子から膝の順に振り出される
腸腰筋、大臀筋、ハムストリングス(大腿後面にある筋)などの股関節付近の大きな筋肉を使い、膝から下はただ置きにいく。
⑥腕を振るときには肩甲骨が動く
具体的にはこれらの動作が連動して走るフォームとなります。ユーチューブでパトリック・マカウ選手などのトップランナーのランニングフォームの動画を観ることでイメージがはっきりするでしょう。トップランナーは走るピッチが速いので、なかなかフォームを真似するのが大変です。ですが、緩やかな下り坂ではフォームを真似しやすいことを発見しました。下り坂ではゆっくりした動作でも自然にストライドが伸びるのでそうなるのでしょう。