ダンテ「神曲」を読む③

【読む順序】

 「神曲」を読む順序に決まりがあるわけではありません。したがって、地獄篇と煉獄篇をスルーして天国篇から読んでみてはどうでしょうか。

 

 地獄篇にも煉獄篇にもダンテの知り合いが良く出てきます。まるでダンテが地獄行きと煉獄行きのメンバーを選抜したようです。人物によっては、あたかもダンテが地獄送りにすることで復讐したかようにも思えてしまいます。地獄篇を書いた時のダンテはベアトリーチェを失った悲しみやフィレンツェを追放された怒りで、まるで地獄にいるような心境だったのでしょう。

 

 一神教の神は戒律が厳しい傾向があり、人が罪を犯すと厳しい天罰(punishment)を食らうことになっています。古代の刑罰は残虐なものが多いのですが、地獄篇での亡者への刑罰もかなりえぐいです。このような地獄の様相を克明に記したのは、人間の悪業を抑止するためなのは分かります。でも、現代の善男善女にとっては潜在意識にネガティブなイメージを加えてまで地獄の刑罰について詳しく知る必要はないように思います。

 

 煉獄では死者は自らの罪を浄化しながら天の高みを目指して高い山に登っていきます。煉獄での罪は「七つの大罪」といいます。(そういうタイトルのアニメもありました) ダンテも煉獄で天使によって七つの罪を象徴する七つの「P」の字を額に剣で刻まれました。そして、煉獄の試練を経るごとに罪が消え、額の「P」も消えていきました。煉獄篇の罰もなかなかキツイものがあり、嫉妬の罪のためにまぶたを針金で縫い合わせている死者の姿などえぐいものがあります。ただ、煉獄の場合は罪を早くなくするために、死者が希望して罰を受けているというのです。過食でメタボになりどうしても痩せられない人は暴食の罪について知るのがいいのかもしれませんが・・・。

 

 「神曲」の全体像を知るには地獄篇も煉獄篇も読む必要があります。しかし、地獄篇から読み始めると、「神曲」が難解なだけに、途中で挫折する可能性があります。どうせ中途で挫折するならば、天国篇から読む方がいい感じを受けて終わるでしょう。極論すれば、「神曲」の100の歌を1回ずつ読むよりも、天国篇の第30歌(至高天)を100回読む方が良い影響を受けるのではないかと思います。

 

 [につづく]