映画「オケ老人」:うそでも感動する音楽の力

原作: 荒木源

監督・脚本: 細川徹

出演: 杏、黒島結菜、坂口健太郎、笹野高史、左とん平、小松政夫、藤田弓子、石倉三郎、茅島成美、喜多道枝、森下能幸、萩原利久、フィリップ・エマール、飛永翼、光石研

 ひょんなことから老人オケを指揮することになった独身高校教師の話で、笑いあり涙ありの音楽映画です。演奏曲はエルガーの「威風堂々」、ドヴォルザークの「新世界」他です。この映画は杏の初主演作です。私は杏をモデルと認識していたのですが、この映画の杏の演技はとても素晴らしいです。目の表情が豊かで魅力的でした。杏の両親は渡辺謙と南果歩、夫は東出昌大であり、杏の俳優としての血筋は濃いものです。今年、双子を出産されたので、しばらくは育児で忙しいことでしょう。この映画の作りは丁寧で本当に笑えますし、涙が出るほど感動しました。老人役の人達も旬の年頃でいい味を出していました。

 

 細かい話は映画を見ていただくとして、よく考えれば、この映画の楽団は虚構です。オケは当然吹き替えですし、学生時代に楽器をやっていれば老人達はあんなに下手ではないですし、やっていなければアマチュア楽団で演奏するのは困難でしょう。でもどうしてこの映画を見てあんなに感動したのでしょうか。

 その答えは向上心かと思います。オケ老人とぼけ老人では天地の差があります。映画では若い主人公・千鶴が核となって老人たちに方向性を与えやる気を引き出していきました。根本には皆が好きな曲を演奏したいという一念があったと思います。人間は老いても向上していけるのだというメッセージに励まされました。