映画「ラ・ラ・ランド」:夢追い人のファンタジー

監督:デミアン・チャゼル

音楽:ジャスティン・ハーウィッツ

 

配役:ライアン・ゴズリング(セバスチャン)、エマ・ストーン(ミア)

 

ハリウッド女優を目指す娘ミアと、自分の店を持ちたいジャズピアニスト・セバスチャンの淡いラブストーリーです。

強固なストーリーはなく、場面はどんどん切り替わっていきます。

それゆえに挿入されるダンスと歌の印象が強いです。

冒頭、ハイウェイの渋滞で、ある女性が踊り始めるとそれが皆に伝染していくシーンがあり、これは圧巻です。また、ヒロインがパーティーに行くシーンがありますが、そこでも皆がダンスするシーンがあり、なぜか一人が着衣でプールに飛び込みます。夕映えの駐車場で二人が歌って踊るシーンや、天文台で銀河をバックに二人が空中に浮遊して踊るシーンも印象的でした。

ですが、それらのシーンがなくてもストーリーが成立してしまうのでした。

まるで白昼夢を見ているような映画で、内容は散漫な印象を受けます。

 

ミアは女優のオーディションを次々に受けましたが落選続きでした。そして自らが脚本を書いた劇に出演すると客の入りはガラガラで、しかも「大根」と酷評されました。もう女優の夢をあきらめるという寸前で、パリで撮影する映画のオーディションに受かりました。どうみても女優の才能がないと思わせておいて、主演女優に抜擢されるというお目出たいストーリ―です。セバスチャンは自分がやりたい音楽を封印し、バンドで売れ線の音楽を演奏して金を稼ぎ、念願の自分のジャズクラブを手に入れました。ミアは人気女優となり、別の男と結婚して子供が生まれました。

ともかく、二人とも夢が叶ったことになります。

 

五年後にミアが夫と通りすがりのジャズクラブに入ると、そこはセバスチャンの店でした。セバスチャンは客席にミアを認め、ピアノで思い出の曲を演奏します。そしてセバスチャンはミアとの幻の結婚生活を夢想したのでした。曲が終わるとミアは何も言わずに去って行きました。

この、五年後の再会のシーンは蛇足のように思います。そんなに熱烈に愛し合っていたようにも見えないのに、店でのセバスチャンの夢想には未練を感じました。

夢がいったん叶ってしまうと、それまでの希望がしぼんでいくように思います。ですので、夢が叶う寸前もしくは夢がかなった直後くらいで話が終わってほしかったです。この映画は、ミアがオーディションに受かってパリに出発するところくらいで終わりにする方が良かったのではないでしょうか。

映画で使われていた曲は、雰囲気はありますが、単独で聴いてお腹いっぱいになるかは微妙だと思いました。