映画「サクラダリセット前篇」:死者がよみがえるリセットの威力

原作・脚本:河野 裕

監督:深川栄洋

配役:野村周平(浅井ケイ)、黒島結菜(春埼美空)、平 祐奈(相麻 菫)

 この映画の持つ世界観はユニークなものです。こういう作品を見ないと世界の時間を戻してやり直そうという発想は出ないのでは、と思います。

 

 前篇では、記憶保持の能力を持つ男子高校生・浅井と周囲の時間を3日間さかのぼらせるリセットという能力を持つ女子高校生・美空が中心となり、事故死した同級生を生き返らせます。

 美空単独ではリセットするとリセット前の記憶が消えてしまい、また同じことを繰り返すかもしれません。そこで、リセットしても記憶を保持している浅井と共にリセットを行うのです。

 

 この映画では咲良田(サクラダ)という市にいろいろな特殊能力を持つ者がいますが、その能力はサクラダ市内のみで有効という設定です。サクラダの能力者達の能力はコンピュータ―の機能に似ています。メモリー、リセット、コピー、消去、通信などです。そしてサクラダ市自体はコンピュータの本体のようです。ですが、コンピュータらしくない能力もあります。未来予知、物質消去、写真の世界に10分間入るなどです。

 

 リセットの能力は、Windows XPのシステムの復元という機能に似ています。システムの復元では、ある時点でのOSの設定をセーブして復元ポイントを作成しておいて、後で設定を元に戻したいときに復元ポイントまで戻れます。この映画のリセットでも、ある時間で状況をセーブして、その時点まで戻れるのでした。

 

 前篇では、冒頭で交通事故にあう同級生をリセットで助けました。次に、リセットの有効期間が過ぎてしまい事故から2年間たった同級生・相麻菫を、彼女が写った写真の世界に入って能力を組み合わせることでリセットして生き返らせました。菫が未来予知能力を持っていることが明らかになり、後篇につながっていきます。

 

 究極の救済は事故が起こらないように未然に防ぐことです。事故が起こってからリセットでは対策が後手に回っています。因果関係がはっきりしていて繰り返し起こる事象に対しては対策が可能です。そのためには他者の事例を学ぶことが大切です。優れた古人は自分の経験のみでなく歴史からも学んだのでした。他山の石ということもあります。