映画「ムーンライト」:月下の黒人は青く見える

 第89回アカデミー賞の作品賞をとった作品です。黒人の子供が海辺で青い月光を浴びているシーンがあり印象的でした。それを見た登場人物(フアン)が「月の光を浴びると黒人も青く見える云々」と言うせりふがあり、これがタイトルの由来でしょう。ストーリーにいじめや麻薬や性行為が出てきますが、この映画の基調は月光のような優しさと涼やかな感覚でした。この映画では、黒人少年の葛藤と成長、幼なじみとの同性愛が描かれています。この私的な映画は出演者がほとんど黒人であるため、地球の反対側の他人事のように始まりました。ですが、だんだんに物語に引き込まれていったのは、出演者の黒人達のつぶらな瞳と優しさのためだったでしょう。

 映画の中で、仲がいい黒人の友人同士で、相手のことを「ニガ」とか「ブラック」とか言っていたのですが、これは日本人には到底まねできない(まねすべきではない)表現だと思いました。

 

【あらすじ】

 小学生で同級生にいじめられて逃げていたシャロンは屈強の大人フアンに保護されて優しくされました。フアンと彼の愛人のテレサはシャロンに良くしてくれました。シャロンは麻薬中毒の母が嫌いでしたが、母に麻薬を売っていたのはフアンでした。

 高校生のシャロンはひよわでした。幼なじみのケヴィンはシャロンの真の友人であり、二人はあるとき性的関係を持ちました。ある日、いじめがエスカレートしてシャロンは数人に暴行を受けました。その暴行のきっかけは首謀者にそそのかされたケヴィンでした。シャロンの内面に変化が生じました。シャロンはいじめの首謀者に報復して暴行を加え少年院に送られました。

 大人になったとき、シャロンは麻薬の売人となり、肉体改造により筋骨隆々になっていました。このとき母は薬物治療施設に入っていて、愛情が必要な時に愛情を注げなかったことをシャロンに詫びました。シャロンの元に料理店を経営しているケヴィンから電話がありました。そしてシャロンとケヴィンは久しぶりに再会し、愛し合ったのでした。

監督・脚本:バリー・ジェンキンス

配役:

トレヴァンテ・ローズ(シャロン・大人)、アシュトン・サンダース(シャロン・高校生)、アンドレ・ホーランド(ケヴィン・大人)、ジャハール・ジェローム(ケヴィン・高校生)、マハーシャラ・アリ(フアン)、ジャネール・モネイ(テレサ)、ナオミ・ハリス(シャロンの母)