映画「美しい星」:美しい地球にいる不思議ちゃん

三島由紀夫原作、吉田大八監督で作られた不思議な世界観を持つ映画です。

 

●あらすじ

 家族が他の惑星人であったことに目覚めてしまい、騒動が起こります。

 リリー・フランキー演じるお父さんは天気予報のキャスターでしたが、UFOを見たことを切っ掛けに火星人であったことに目覚めました。火星人は地球の危機を放っておけず、メディアを使って熱くアピールします。お父さんは地球温暖化の危機を天気予報で訴えて妙な人気を得ました。しかし、熱意のあまり政治家を放映中に糾弾してしまい、番組から干されてしまいます。そして、火星人であることを証明するためにUFOを呼ぼうとしたあげくに、血を吐いて倒れていまいました。お父さんの体は癌に冒されていたのでした。

 配達のアルバイトをしていた亀梨和也演じる長男は政治家の事務所に採用されました。佐々木蔵之介演じる政治家の秘書は水星人であり、長男も水星人であることを知らされました。水星人は地球人の進路を決めてやる役割を担いながらも、地球人滅亡の選択もやむなしと考えるクールな性格です。

 橋本愛演じる長女は美しい大学生ですが、路上でミュージシャンの青年が歌っていた「金星」という歌に魅かれ、彼を追って金沢に行きます。そこでミュージシャンの青年から二人が金星人であることを聞かされ、海辺でUFOを呼ぶとUFOが現れました。長女は、青年に言われた「かつて地球に金星人がもたらした美の基準を復活させて、地球人によって曲げられてしまった美を正す」という言葉に凄く反応しました。彼女は東京に戻ると、以前断っていた大学のミスコンテストに応募しました。そのうちに長女が妊娠していることが判明しました。そして、長女は金星人の子供を産むのだと決意したのでした。

 中嶋朋子が演じるお母さんは地球人であり、健康と美容に良いミネラルウォーターの販売のビジネスをするようになりました。お母さんは優秀なディストリビューターとして表彰されるまでになったのですが、その矢先にミネラルウォーターがインチキ品と判明し、ビジネスは崩壊しました。

 そんな家族は瀕死のお父さんのたっての願いを受けてUFOと遭遇しに山中に出かけました。山路を越えた所で場面は変わり、お父さんは元気な姿でUFOの中にいるのでした。お父さんは地球での任務を終えて火星に帰還することになったのでした。そして、お父さんはUFOを見上げている自分を含めた四人家族をはるかに見下ろしていたのでした。

 

●よくわからない点

 長男が政治家と秘書と一緒にエレベーターに乗っているとき、エレベーターが止まって扉が開いたときに政治家と秘書がピストルで撃たれるビジョンを2回も見ました。それで、長男はエレベーターが止まって扉が開いた瞬間に外に居た人を蹴り倒したのですが、その人はピストルではなくスマホを持っていました。長男はとんでもない勘違い野郎ということになりましょうが、次の場面では政治家にちゃっかりと雇われていました。

 また、最後の場面ではお父さんが任務終了してUFOに乗って火星に帰還するというものですが、山路でUFOを見上げているお父さんもいたので混乱しました。二人が同時に存在していたのは、後から考えたら理解できなかったのでした。

 

●俳優

 名優(怪優)リリー・フランキーの火星人ポーズは面白かったです。橋本愛のUFOを呼ぶ動作も不思議な感じで良かったです。一番まとも感じがしたのは水星人役の亀梨和也でした。クールな水星人役の佐々木蔵之介は不気味感をよく出していました。中島朋子は普通の地球人感をよく出していました。総じてキャストはぴったりだったように思います。

 

●地球の特徴

 太陽系の惑星の中ではわりと重力が大きい。地球より重力が大きいのは木星と海王星のみ。

 水が液体の状態で大量に存在する。これは生命の発生に重要。

 地球人が70億人以上いる。

 最近気温が上昇傾向にある。

 そんなことを漠然と考えるようになったのは、この映画の影響でしょうか。

 

●地球温暖化について

 宮沢賢治が「グスコーブドリの伝記」を執筆してからまだ百年もたっていません。「グスコーブドリの伝記」は、グスコーブドリが自らを犠牲にして火山を噴火させて、温室効果ガスにより世界を冷害から救うというお話でした。現在の世界は、いわば宮沢賢治の願いが叶った状況ですが、宮沢賢治は地球温暖化のもたらす影響の全体像について理解していたでしょうか。そう思うと小さく舌打ちしたくなります。

 地球温暖化に対して火星人に危機感を持てと言われても、個人ができることは限られているように思います。想念が現実化するのなら、宮沢賢治の逆をいって涼しくなる地球をイメージしてみるのですが・・・。