宇多田ヒカル「花束を君に」:涙色って何色?

「花束を君に」は2016年NHK朝の連続ドラマの主題歌です。

ドラマのヒロインは高畑充希でした。

当時は若い女性の自画像の歌かと漠然と思っていました。

 

それが、宇多田ヒカルが亡き母に向けた歌だと知ったのは、不覚にもドラマが終わってしばらくしてからでした。

そして、この挽歌は私にとって忘れえぬ曲となりました。

 

「普段からメイクしない君が薄化粧した朝」

それは母が人にしてもらった最後の化粧でした。

 

「始まりと終わりの狭間で忘れぬ約束した」

女性は新しい生命の誕生と、親との永久(トワ)の別れを相次いで経験します。

今生忘れぬ約束は来世へと続くのでしょうか。

 

「花束を君に贈ろう 愛しい人 愛しい人」

娘は愛情も才能も因縁も母から受け継ぎました。

そんな母のすべてが愛しい。

 

「どんな言葉並べても真実にはならないから」

言葉は便利なものですが、すべてを表現するには足りません。

言葉にした瞬間に何かが失われてしまいます。

まことの心も、思いのたけも、

言葉にならず、ただ涙を流して花束を捧げるのみです。

 

「今日は贈ろう 涙色の花束を君に」

涙色の花束って何色でしょう?

水色でしょうか。

水色の花、亜麻の花束?

メイクが流れた黒い涙を見た事があります。

これは違うでしょう。

 

「雪は降る あなたは来ない・・・

むなしい夢、白い涙。」

これだ。

涙の跡が白くなるまで泣くのです。

 

涙色の花束は、白菊、白百合、白バラ、カスミ草。

そんな風に思えたのです。